ディップコーティングを用いて製品の表面に均一なコーティングを施したい、品質管理に責任を持つ製造現場の技術者の皆様、こんにちは。
ディップコーティング工程において、引き上げ速度は均一な膜厚形成に大きく影響します。
しかし、具体的な調整方法やリニア引き上げ処理の必要性について、理解している方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、ディップコーティングにおける引き上げ速度の調整方法と、リニア引き上げ処理のメリットを解説します。
ディップコーティング引き上げ速度の調整
ディップコーティングにおいて、均一な膜厚を得るためには、引き上げ速度の調整が非常に重要です。
引き上げ速度は、液体の粘度やワークの形状、さらには周囲の温度や湿度など、さまざまな要素によって影響を受けます。
1:引き上げ速度と膜厚の関係
一般的に、引き上げ速度が速いと厚膜になり、遅いと薄膜になります。
これは、引き上げ速度が速いほど、ワークに付着する液体の量が多くなるためです。
2:液体の粘度との関係
液体の粘度が高いほど、引き上げ速度を遅くする必要があります。
これは、粘度が高い液体は、ワークに付着しやすく、引き上げ速度が速いと液だれを起こしやすいためです。
3:適切な引き上げ速度の調整
適切な引き上げ速度は、液体の粘度やワークの形状、さらには周囲の環境などを考慮して、実験的に求める必要があります。
リニア引き上げ処理とは?
湾曲形状のワークや沸点の高い溶剤を用いる場合、通常の引き上げ処理では、ワークの下部に行くほど厚膜になりやすい傾向があります。
これは、溶剤の蒸発速度や液体の表面張力などの影響で、ワークの下部に液体が溜まりやすくなるためです。
1:リニア引き上げ処理の原理
このような問題を解決するために考案されたのが、リニア引き上げ処理です。
リニア引き上げ処理は、引き上げ速度を徐々に減速させることで、ワーク全体に均一な膜厚を得ることを目的とした処理方法です。
2:リニア引き上げ処理の方法
リニア引き上げ処理は、特殊な装置を用いて、引き上げ速度を直線的に減速させることで実現します。
下記に、リニア引き上げ処理のイメージをイラストで示します。
イラストから分かるように、リニア引き上げ処理では、引き上げ速度が徐々に加減速するため、ワーク全体に複雑な膜厚を得ることが可能となります。
まとめ
この記事では、ディップコーティングにおける引き上げ速度の調整方法と、リニア引き上げ処理のメリットについて解説しました。
引き上げ速度の調整は、均一な膜厚を得るために非常に重要です。
リニア引き上げ処理は、湾曲形状のワークや沸点の高い溶剤を用いる場合に特に有効な方法です。
これらの情報を参考に、皆様のディップコーティング工程の改善に役立てていただければ幸いです。
当社は、ディップコートのフロントランナーとして、最先端のディップコーティング技術を駆使し、さまざまな用途に対応するより安全・安心な高性能ディップコーターを提供しています。
独自の技術開発により、精密面精度や耐薬品性を考慮した特殊機構の装置もラインナップしています。
また、オプション製品やカスタマイズ対応が可能で、顧客の多様なニーズに応える柔軟性が強みですのでご相談ください。