コーティングの種類とは?切削工具に最適なコーティングとは?選び方のポイントも解説

切削工具の寿命を延ばしたい、生産性を向上させたい、品質を向上させたいと考えている製造現場の担当者の方も多いのではないでしょうか。
切削工具に最適なコーティングの種類を知りたい、コーティングの種類によって何が変わるのかを知りたいという方もいるかもしれません。
この記事では、切削工具に最適なコーティングの種類を、工具材質、工具種類、被削材別に解説します。

切削工具にコーティングを施す目的とは?

切削工具にコーティングを施す目的は、刃具の寿命を延ばし、生産性を向上させ、品質を向上させることです。
コーティングの種類によって、摩擦抵抗の低減、切粉の排出性の改善、工具の強度向上などが期待できます。

1:刃具の寿命を延ばす

コーティングによって、刃具の表面に硬い層を形成することで、摩耗や損傷から刃具を守り、寿命を延ばすことができます。
例えば、TiNコーティングは、耐摩耗性に優れており、刃具の寿命を大幅に延ばす効果が期待できます。

2:生産性を向上させる

刃具の寿命が延びることで、工具の交換頻度が減り、加工時間の短縮につながります。
また、コーティングによって切削抵抗が減少し、加工速度を上げることができる場合もあります。

3:品質を向上させる

コーティングは、刃具の表面を滑らかにすることで、加工物の表面品質を向上させる効果もあります。例えば、DLCコーティングは、表面硬度が高く、摩擦係数が低いため、加工物の表面に傷がつきにくく、鏡面仕上げのような滑らかな表面を実現することができます。

工具種類と最適なコーティング種類とは?

切削工具には、超硬とハイスの2種類の材質があり、それぞれに最適なコーティングの種類があります。また、被削材によっても最適なコーティングが異なります。
具体的な工具種類、被削材別の最適なコーティング種類を、一覧表と合わせて解説します。

超硬工具

超硬工具は、高硬度、高耐摩耗性、高耐熱性を持つため、さまざまな切削加工に用いられます。
超硬工具に最適なコーティングの種類は、被削材や加工条件によって異なります。

1:被削材:鋼

・TiNコーティング:汎用性の高いコーティングで、耐摩耗性、耐熱性、耐酸化性に優れています。
・TiAlNコーティング:TiNコーティングよりもさらに硬度が高く、耐摩耗性に優れています。
・DLCコーティング:潤滑性に優れ、切削抵抗を低減します。

2:被削材:アルミ

・DLCコーティング:アルミ加工に最適で、工具寿命を大幅に延ばす効果があります。
・TiNコーティング:アルミ加工にも使用できますが、DLCコーティングほど効果は高くありません。

3:被削材:鋳鉄

・TiCNコーティング:鋳鉄加工に最適で、耐摩耗性、耐熱性に優れています。
・CrNコーティング:耐摩耗性、耐熱性に優れ、鋳鉄加工に適しています。

ハイス工具

ハイス工具は、超硬工具よりも硬度は劣りますが、靭性に優れており、衝撃に強く、加工精度が高いのが特徴です。
ハイス工具に最適なコーティングの種類は、超硬工具に比べて種類が限られます。

1:被削材:鋼

・TiNコーティング:ハイス工具に施すことができる代表的なコーティングです。
・TiAlNコーティング:ハイス工具にも適用できますが、TiNコーティングよりも高価です。

2:被削材:アルミ

・TiNコーティング:ハイス工具に施すことができますが、DLCコーティングほど効果は高くありません。

3:被削材:鋳鉄

・TiNコーティング:ハイス工具に施すことができますが、超硬工具に比べて耐摩耗性は劣ります。

まとめ

この記事では、切削工具に最適なコーティングの種類について解説しました。
コーティングを施すことで、刃具の寿命を延ばし、生産性と品質を向上させることができます。
切削工具の種類、被削材、加工条件によって最適なコーティングは異なるため、適切なコーティングを選定することが重要です。

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